新NISAを始めようと、口座をどこで開くのがいいか調べていくと、手数料・商品数・ポイント・サポート体制など、比較するポイントがいくつもあることがわかってきます。どれも大事そうに見えて、全部を見比べないと決められない気がしてきますが、実は、すべての項目を同じように比べる必要はありません。
比較を始める前に決まる大きな分かれ道が2つあり、そこを決めるだけで候補は絞られます。「どの証券会社がいいか」の前に「自分は何を見ればいいか」がわかっていると、比較記事や比較表もぐっと読みやすくなります。
※ 新NISAの仕組みから知りたいときは、新NISAとはにまとめています。口座を開く先を決めるだけなら、この記事だけで進められます。
比べる前に、大きな分かれ道が2つあります
NISA口座を開ける先は、大きく分けて3つあります。銀行、店舗のある証券会社、ネット証券(店舗を持たず、申込みも取引もインターネットで行う証券会社)です。
この3つのどれにするかは、次の2つを考えれば、候補をだいたい絞り込めます。
窓口で相談したいか、自宅で手軽に始めたいか
マネリス


窓口のある金融機関の良さは、自分が聞きたいことを、聞きたい言葉のまま質問できることです。「この2つの商品は何が違うの?」「この手続きで合ってる?」といった疑問に、担当者がその場で答えてくれます。1つ知っておきたいのは、窓口で案内してもらえるのは、その金融機関が扱っている商品だという点です。他社の商品と見比べたいときは、自分で調べることになります。
一方、ネット証券の良さは手軽さです。申込みから積立の設定まで、自宅のスマホやパソコンで完結します。仕事や子育てで平日の日中に動きにくい方でも、店舗に行く時間を作らず、夜や休日の空いた時間に進められます。
ネット証券でも、口座開設や入出金、積立の設定、画面の操作方法については、オペレーターに電話で問い合わせられるところがあります。わからない画面や手続きを、言葉で説明しながら案内してもらえるので、すべてを一人で解決しなければならないわけではありません。ただし、使える問い合わせ方法や相談できる内容は証券会社によって異なります。
対面で一つずつ相談しながら進めたいなら窓口のある金融機関、自分のペースで進めて困ったところだけ電話やチャットで確認したいならネット証券が候補になります。


投資信託だけでいいか、株やETFも買いたいか
もう一つは、買いたいものが何かです。銀行のNISA口座で買えるのは投資信託だけです。そのため株やETF、REITも買ってみたいなら、証券会社(店舗のある証券会社かネット証券)を選ぶことになります。
ETF・REITとは
- ETF … 証券取引所で売り買いされる投資信託です
- REIT … 集めたお金で建物などに投資し、その賃料などを分ける商品です。ETFと同じように、証券取引所で売り買いされます
2つの分かれ道で、3つの候補はこう分かれます。
| どこで開くか | 手続きのしかた | NISAで買えるもの |
|---|---|---|
| 銀行 | 窓口で相談しながら | 投資信託だけ |
| 店舗のある証券会社 | 窓口で相談しながら | 株や投資信託 |
| ネット証券 | 画面で自分で進める | 株や投資信託 |
窓口で相談したい方は、銀行か店舗のある証券会社へ
投資信託の積立だけでよければ、ふだん使っている銀行がいちばん身近です。NISAを扱っているかは、その銀行のサイトや店頭の案内で確かめられます。相談しながら決めたいけれど株やETFも買いたいなら、店舗のある証券会社のほうです。
窓口では、次の4つを聞いておくとよいでしょう。
- 取扱商品 … つみたて投資枠で買える投資信託を、どれくらい扱っているか
- 積立の金額 … いくらから積み立てられるか
- 設定の手伝い … 積立の設定を窓口でやってもらえるか
- 手数料 … 買うときの手数料(購入時手数料)がかかる投資信託かどうか
なお、口座を開いた後でも、金融機関は年ごとに変えられます。変えるときに知っておきたいことは、記事の後半にまとめました。
ここから先は、ネット証券で開設する方向けの比較ポイントになります。
ネット証券の比較ポイントは大きく5つ
- 取扱商品
- クレカ積立
- 問い合わせ方法
- 画面・アプリ
- 手数料
5つ全部を見比べる必要はありません。自分が気になるものだけチェックすれば大丈夫です。
① 取扱商品
同じNISAでも、扱っている投資信託の顔ぶれは金融機関ごとに違います。よく名前の挙がる定番の投資信託なら、主なネット証券はおおむね扱っています。買いたい商品を扱っていない金融機関は、その時点で候補から外せるので、買いたい商品が決まっている方は、ここから見るのが早いです。
SNSや本などで「この投資信託が気になっている」という商品名がある方は、口座を開く前でも取り扱いを調べられます。調べ方は2つあります。
- インターネットで「商品名+証券会社名」を検索する
- 証券会社のサイトにあるファンド検索(取扱商品の一覧ページ)で、商品名を入れて探す
まだ商品が決まっていない方も、証券会社のサイトで探せます。ランキングや、条件をつけて絞り込む画面が用意されています。口座を開いてから、自分の目的に合うものを選ぶこともできます。
※ どんな投資信託を選ぶかは、投資信託とはにまとめています。
② クレカ積立
クレカ積立とは、毎月の積立金をクレジットカードで支払う方法です。クレカ積立ができる会社とできない会社があります。ポイントが付くカードなら、積立を続けている間、ポイントが貯まっていきます。銀行口座からの引き落としでは付かないので、その分だけお得になります。また、支払いのときだけでなく、買った投資信託を持っている間にもポイントが付く金融機関もあります。
使いたいカードが決まっている方は、そのカードが使える金融機関から選ぶことになるので、ここも大事な比較ポイントです。ポイントの付き方は金融機関やカードによって違い、変わることもあるので、実際の条件は各社のサイトや比較記事で確かめてください。






③ 問い合わせ方法
手続きや操作で困ったときの問い合わせ先は、主なネット証券なら、電話とチャットのどちらも用意されているのが一般的です。違いが出るのは、受付時間と、人が対応してくれる範囲です。AIチャットは24時間使えるところが多い一方で、電話やオペレーターによるチャットは平日の日中だけ、というところもあります。困ったときに人に聞けると安心という方は、ここをチェックしておくとよいでしょう。
なお、ここでいう問い合わせは、手続きや操作の相談です。商品そのものを相談しながら決めたい方は、窓口のある金融機関のほうが向いています。
④ 画面・アプリ
積立の設定や残高の確認は、証券会社のサイトやアプリで行います。毎日見るものではありませんが、見にくい画面だと、確認するのがおっくうになってしまいます。長く付き合う画面なので、自分に合うかどうかは意外と大事なポイントです。
アプリには、初心者向けのシンプルなものから、デイトレードにも使える高機能なものまで幅があります。画面・アプリを比較ポイントにする方は、こんなところをチェックしてみてください。
- 操作画面が見やすいか
- 残高の確認や積立の設定など、自分が使う機能がすぐ見つかりそうか
画面やアプリの仕様は、口座を開く前でも確かめられます。金融機関の案内ページには画面の見本が、アプリストアには画面の写真と使っている人の感想が載っています。あわせて、ログインや出金のときの本人確認(多要素認証)や通知の機能も、案内ページで確かめておくと安心です。
⑤ 手数料
手数料は気になる項目だと思いますが、投資信託だけを考えているなら、実は比較しなくて大丈夫です。手数料を「どこで買っても同じもの」と「金融機関で変わるもの」に分けると、その理由がわかります。
どこで買っても同じ手数料
投資信託を持っている間は、運用や管理の費用(信託報酬)が毎日少しずつ差し引かれています。この費用はそれぞれの投資信託に決まっているものなので、同じ投資信託を買うなら、どの金融機関で買っても手数料は同じです。ここは金融機関選びでは比較しなくていい部分です。


買うときの手数料(購入時手数料)も、主なネット証券なら、どの投資信託でも無料です。銀行などでは、投資信託によってはかかることがあります。ただし、つみたて投資枠で買える投資信託は、どこで買っても無料です。無料であることが、対象商品になるための条件だからです。
金融機関で変わる手数料
株やETFを売るとき、買うときの手数料は、NISA口座では無料にしている金融機関が増えています。ただし、すべての金融機関が無料というわけではなく、条件によって差が出ることもあります。株も買うつもりの方は、①の取扱商品と一緒に確認しておきましょう。投資信託だけを考えている方は、手数料の項目は見なくてかまいません。
金融機関は、年ごとに変えられます
一度NISA口座を開くと、その年に新しく買えるのは、その金融機関だけです。ただし、ずっと固定ではなく、金融機関は年単位で変えられます。すでにその年にNISAで買付をしていると、変えられるのは翌年の分からになります。
変えるときに知っておきたいのは、それまでに買った分の扱いです。前に買った分は元の金融機関に残ったままになり、新しいほうへ移すことはできません。変えた後は、NISAで買ったものの置き場所が2つに分かれることになります。








まとめ
新NISAの口座をどこで開くかは、次の流れで考えると迷いにくくなります。
- 窓口(対面)で相談したいか、自宅で手軽に始めたいか
- 投資信託だけでいいか、株やETFも買いたいか
- ネット証券にするなら、気になる比較ポイントをチェック
比較ポイントは、こんな方に向けたものです。
| 比較ポイント | こんな方はチェック |
|---|---|
| 取扱商品 | 買いたい投資信託が決まっている |
| クレカ積立 | カードでポイントを貯めたい |
| 問い合わせ方法 | 困ったときに人に聞けると安心 |
| 画面・アプリ | 見やすさ・使い勝手を重視 |
| 手数料 | 株やETFも買う予定がある |
どの項目を優先するかは、人によって違います。自分が気になった項目をまずは1~2個決めて、その項目に絞って、各社を見比べてみてください。
次に読むと理解が進む記事




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参考情報
出典の一覧を見る
- NISAに関するよくある質問(金融庁) — NISA口座の金融機関は年単位で変更できること、変更したい年にすでに買付があるとその年分は変更できず翌年分からになることを確認できます
- NISAのよくある質問(日本証券業協会) — 銀行では投資信託、証券会社では上場株式・ETF・REIT・投資信託等に投資できること(Q22)、ある年にNISA口座で新たに投資できるのは一人につき1つの金融機関に限られること(Q51)、金融機関を変更すると変更前に保有していた商品は移せないこと(Q60)、変更前の金融機関に残った商品は非課税のまま保有を続けられること(Q58)を確認できます
- ETFの仕組み(資産運用業協会) — ETFが証券取引所に上場された投資信託であり、取引所で売買される商品であることを確認できます
- J-REITを学ぼう(資産運用業協会) — REIT(不動産投資信託)が、投資家から集めた資金で不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品であること、証券取引所に上場されていることを確認できます
- 証券口座への不正アクセスによる不正取引にご注意ください(金融庁) — ログイン時・出金時等の多要素認証や通知サービスの利用が呼びかけられていることを確認できます
- つみたて投資枠対象商品(金融庁) — つみたて投資枠の対象商品として届出・公表されている投資信託の一覧が存在することを確認できます
- 金融庁「説明資料」(令和7年4月22日・資料2・PDF) — PDF資料です。5ページ目の図表3に、つみたて投資枠の対象となる投資信託の要件として、信託報酬の上限とあわせて購入時手数料(売買手数料)がノーロード(無料)であることが定められていることを確認できます






